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司法書士の一人言

Soliloquy

» 遺言⑦

公開日:2017.11.6

前回は前文の自書や人や物の特定の仕方、使う言葉などを紹介しました。

今回は絶対に守らなければならないルール②日付からスタートです。

 

②日付

西暦でも和暦でも構いませんが、必ず日付まで書いて下さい。

◯ 平成29年●●月●●日

◯ 2017年●●月●●日

× 平成29年●●月吉日 ← 日付が特定されていないのでダメです。

 

③氏名

住民票などの公的証明書と同じ記載でフルネームを書いて下さい。

住所については、ルールに入っていませんが書いておきましょう。

また、夫婦連名で遺言を書くのは無効です。

(共同遺言の禁止)

第975条  遺言は、二人以上の者が同一の証書ですることができない。

 

④押印

ルールで要求されているのは押印です。ですので、認印でも構いませんがなるべく実印を押印しておきましょう。

また、押印が拇印でされた遺言が認められたという判例もありますが押印は実印を押印しておきましょう。

 

以上が、自筆証書遺言を書く際の守らなければならないルールです。

 

次は、遺言に書いておいた方がいい事項について書いていきます。

 

遺言執行者について

遺言執行者とは、遺言書に書かれた内容を実現するために動く人のことです。実際には、相続財産目録を作成したり、第三者への不動産名義書換、預金の払戻しや財産の引渡しなどを行います。

遺言執行者を定めておくメリットしは、遺言執行者の指定がないと相続人全員の協力がないと手続きができないからです。また、遺言執行者が相続財産の管理処分を単独で行うことができるので遺言の執行がスムーズにいくということです。

遺言執行者になれない人もいます。

(遺言執行者の欠格事由)

第1009条  未成年者及び破産者は、遺言執行者となることができない。

 未成年者と破産者は遺言執行者になれません。

遺言執行者を指定する方法としは、遺言の中に書くことで指定することができます。

(遺言執行者の指定)

第1006条  遺言者は、遺言で、1人又は数人の遺言執行者を指定し、又はその指定を第三者に委託することができる。

2  遺言執行者の指定の委託を受けた者は、遅滞なく、その指定をして、これを相続人に通知しなければならない。

3  遺言執行者の指定の委託を受けた者がその委託を辞そうとするときは、遅滞なくその旨を相続人に通知しなければならない。

 どういう人を遺言執行者に選ぶかは、上記欠格事由以外に制限はないので、相続人、受遺者、全く別の第三者でも構いません。

基準としては財産目録を作成したり、名義書換の手続きをするので事務処理能力が優れている人がよいでしょう。

また、指定する人の内諾も得ておいた方がよいでしょう。

 

訂正について

民法968条2項において自筆証書遺言の訂正の方法が規定されています。

しかし、間違えた場合は、何度でも書き直しをして下さい。

訂正の仕方が細かすぎますし複雑です。

 

撤回について

(遺言の撤回)

第1022条  遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、その遺言の全部又は一部を撤回することができる。

 遺言はいつでも破棄し、またいつでも書き直すことができます。

 

付言事項について

遺言書に記した「特別な想い」や「願い事」のことです。なぜ、このような遺言の内容にしたのか等の理由を書きましょう。

この付言事項には法的な効果や拘束力はありませんが、相続人に対する感謝の気持ちや心情、メッセージを書くことによって相続人同士の対立を防いだり、遺言の内容に対する不満を和らげたりする効果があります。

長男に全てを相続させる場合にその理由を付言に書くことで、もらえない兄弟達の不満を和らげ遺産争いを回避できるかもしれません。

葬儀についての希望や、散骨をして欲しいなどという付言の例もあります。遺族が納得してくれる理由をしっかり書いておくと、遺言者の願いを遺族が実現してくれるかもしれません。

 

最後に

遺言について全7回に渡って書いてきましたがいかがだったでしょうか??

最後はご自身で自筆証書遺言を書ける様な内容にしましたが、やはりお勧めするのは公正証書遺言です。

また、自筆証書遺言で書くにしても内容を専門家に見てもらったり、保管に関しても対策を考えなければなりません。

司法書士は相続・遺言に関しての専門家です。

最終意思を実現してもらえるように、一緒に遺言の内容を考えていきましょう!!