司法書士の一人言
Soliloquy
» 戸籍の訂正
公開日:2016.11.7仕事柄、戸籍を読むことが多いのですが、先日の出来事なのですが戸籍の訂正をしました。今までかなりの戸籍を読み解いてきましたが初めての出来事だったので記事にしたいと思います。
相続手続きの被相続人の戸籍は出生から死亡までが必要
相続手続きにおいて、一般的に被相続人の戸籍は出生から死亡までの戸籍が必要となります。順番として、被相続人の死亡時の戸籍から出生まで遡って調べていくのですが、通数に関しては人によって本当に様々です。結構な数を取得しなければならない人もいれば3通で終わる人もいます。私が死亡した場合3通で足りるでしょうね(笑)
私の話はさておき、戸籍を追うのもいろいろとチェック項目があるので大変です。請求した戸籍が出生から死亡までつながっていなければならないのですから。
では、何をもってつながっているのか?
本籍と筆頭者で戸籍と戸籍がつながっているかを確認
本籍と筆頭者で戸籍と戸籍がつながっているかを確認します。 転籍の有無、改製の有無などを確認し、そして戸籍の中の身分事項欄についてどのような記載があるかを見ていきます。
今回は改製原戸籍の中にその誤りはありました。その改製原戸籍は分籍の届出により作成されたものでした。今回の被相続人はCで、Cの戸籍を出生まで遡る途中で発見しました。本家の戸籍にいたAが奥さんのBと子のCと共に新戸籍(改製原戸籍)を作成したので、本家の戸籍から親子3人で新戸籍を編製したはずです。通常ならCの身分事項欄に次のように記載されているはずです。
「昭和●●年●月●日父A母Bに随い入籍」
ですが、その戸籍には次のように記載してありました。
「昭和●●年●月●日父A母Bに随い除籍」
... えー、除籍??なんで新戸籍に入る前に除籍されてんだよと思いつつ軽くパニックでしたがどう考えてもあり得ないのですぐ明白な誤りと気づきました。
すぐ、管轄の役所へ電話をしまして戸籍が間違えている旨を伝えたところ、こちらの誤記ですねとすぐ対応をしてくれました。
対応としては、Cの身分事項欄に訂正後の事項を記入後、新しい戸籍を当方に送ってもらい、当方の手元にある間違いのある戸籍を返送するという流れでした。
新しく送られてきた戸籍には次のように訂正されていました。
と訂正されておりました。ちなみに(印)は市長の印が押印されていました。
明らかな誤りでもそんな簡単に直せるものなのかを調べてみたところ、ちゃんと規定されておりました。
戸籍法です。
第24条 戸籍の記載が法律上許されないものであること又はその記載に錯誤若しくは遺漏があることを発見した場合には、市町村長は、遅滞なく届出人又は届出事件の本人にその旨を通知しなければならない。但し、その錯誤又は遺漏が市町村長の過誤によるものであるときは、この限りでない。
2 前項の通知をすることができないとき、又は通知をしても戸籍訂正の申請をする者がないときは、市町村長は、管轄法務局又は地方法務局の長の許可を得て、戸籍の訂正をすることができる。前項ただし書の場合も、同様である。
市町村長は間違いをみつけたら法務局長の許可を得て戸籍の訂正をすることができると規定されているではありませんか。
あまりにも早かったので法務局長の許可をもらっているのかは不明ですが、今回は上記のように戸籍が訂正されました。